思考の芥場

プラモ、ボードゲーム、紙芝居ゲー、アニメや本などの雑記帳

終わりが決まっている、詰んでいる物語が好きってお話

酷暑の中、気候も情勢も外出を拒む日々が続いていますが、そんな自宅生活でもdアニメストア君がなんとか支えてくれています、おしょむです。今回はちょっと書きおいておきたいことができたので置いておく回です。

 

終わりが決まっている物語とは

 字の通り、物語のどこかに終わりが設定されており、およそそこで語り手の語りが終わり、物語が完結することが見えている作品群になります。

 その昔、「こなたよりかなたまで」(F&C)というPCゲームがありました。(やったのは最近ですが) 癌によって余命僅かな主人公が、それを知らされぬ幼馴染の少女や、悠久の時間を生きる吸血鬼との決して相容れぬ、それでも美しい時間を過ごす作品です。OPは聞くと泣くので反則。

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ずるいCG 涙腺が

 また、「そして明日の世界より-」(etude)というこれもPCゲームがありました。穏やかな時間が流れる離島。男勝りな友人や幼馴染とその姉達と過ごしながら老人の道楽の温泉堀りをする主人公... ある日突如流れる3か月後の隕石落下と地表壊滅のニュースから物語は動き出します。残された時間で今までの矛盾や葛藤といやでも向き合い、進んでいく人々の姿が魅力的です。御波ちゃんきゃわわ。

 他には最近少し話題になった漫画「ガンスリンガー・ガール」であったり(これもどっかで書かねば)です。終わる視点が主人公なのがポイントです。

詰んでいるお話とは

 前の項と少しかぶりますが、俗に言う「終末もの」になります。特に終末の直前のもの、または終末が起きた後もう手が付けられなくなってしまった、あとは終わるだけの世界のお話のことです。(ポストアポカリプスものでも、その先がある「∀ガンダム」や「翠星のガルガンティア」などは好きですがこの条件には当てはまらないです。)

 本編世界で人々が「諦めてしまった」その後の物理法則すら死に絶えた世界を描いたスチームパンクシリーズのスピンオフ小説、「灰燼のカルシェール-What a beautiful sanctuary-」がその一つだと考えています。機械の体で死人を蹴散らしながら進むキリエと、その傍らで護られるジュヌヴィエーヌ。旅する2人、けれど生命は1つ... 桜井光女史の美しい文章は必見です。

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スチパンシリーズの代名詞、「喝采せよ!」からの「喝采はいらない」
シリーズファンへのファンサービスが過ぎる。

 そしてこの記事を書くきっかけになった最近プレイしたゲーム「Dark souls」の世界。本編中おぼろげに示される火継ぎの物語は、どうあっても終わりを免れぬお話でした。主人公の選択に関わらず、日は陰り世界は終わっていくのです。

 このような形で、どうあっても破滅は免れず、結末は変わらない、という状況のなかでの人間のお話が大好きなのです。

なんで好きなの?

 これらの物語を考えていたら今週いろいろなものが手につかなかったのですが、第一の理由としては「人は時間があると考えると実質的になにもしない」のではないかと考えたからです。ちょっと我慢すれば許せてしまう人間関係の矛盾は、普通の空間では見過ごされ、忘れ去られていってしまいます。親子の不満、友人の不満、あの子は振り向いてくれないけどいつか...という想い、隠されていた捻じれた関係性... 時間制限という物語構造は、それらを否が応でも炙り出します。もちろん痛みのある変化ではありますが、時間制限がその痛みすらも許さずに走りだす、そんな中での人を見ている感覚が好きなのです。何もしない現実世界の自分と、何もかもが動いていく物語の中の世界。そんな感覚かなと思いました。

 もう一つが、「その後のお話が全くないか、美しいことが確定している」ということでしょうか。死や離別、終末はその時点で物語をほぼ1点に収束させる舞台装置なので、その後を想像する幅はかなり狭くなる、と勝手に考えています。ハッピーエンドを喜ぶ自分もいながら、その後上手くいかないビターエンドを想像してしまう自分もいるので、幅のある未来を提示されると不安になってしまうのです。もちろんそういう作品も好きなのですが、感想が終わった...で途切れる作品は精神負荷が少ないというか、自分の中で納得できる、という側面があるんだと思います。

 決められたレールをただ進む方が、選んだ自由に傷つくよりいいと感じる瞬間があるのです。年かな...

 

以上、そんなお話でした。この世にまた駄文を一つお出ししてしまった。紹介作品がけんそく作品多くない?とか思った人とはいいお酒飲めそうです。こなかなは今DL版1.5kくらいで買えるので暇な方はぜひに。

やっとパーツを見つけて塗装がはじめられたりして夏の間にいろいろ進めておきたいところ。頑張ろう。